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Interview

WOSH design

Edit by Hayashida Mika,
Text by Osaki Hiroyuki,
Photography by Enda,
Creative Direction by Maehara Takahiro

2025.05.01

家族と仲間と猫と。
広がる景色、花開くデザイン

Edit by Hayashida Mika,
Text by Osaki Hiroyuki,
Photography by Enda,
Creative Direction by Maehara Takahiro

2025.05.01

窓越しに映る、WOSH design 代表 和田 力の横顔

"自然と、1つのサイトを作ったらそれが口コミや紹介を生み、次の依頼につながっていく。その繰り返しが今も続いているんです"

和田 力 (WOSH design 代表)

「同業者と、あまり接点を持たないようにしてきました。だって怖いじゃないですか」

そう話すのは、株式会社WOSH designで代表取締役を務める和田力だ。Studio ExpertsのGoldランクとして数々の実績を積み重ね、今もなお全国からの依頼は続いている。

2019年に地元・愛知県でデザイン事務所を立ち上げた当初、和田はまだ飲食店の店長として働く傍ら、店内で使うメニューやポップなどを作っていたという。しかし、2022年にはデザイナー2名を迎えて法人化を実現。想像もしていなかった道が拓かれていった。

「毎日ピザやパスタ、カクテルを作りながら、近くにパソコンを置いてデザイン業務をしていた頃を思うと、大きな変化ですよね」

当時を思い出しながら、からからと笑う。

その道のりには、果たしてどのような転機があったのか。

窓から差し込む日差しの前でくつろぐ愛猫と、自宅とオフィスの共同玄関をくぐる子どもたちとメンバーの笑い声が響く──。その様子からは想像もできないような、立ちはだかる壁を乗り越え続けてきた日々を振り返ってもらった。

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怖いからこそ、踏み出す。
和田力の選んだ選択肢

生まれはアメリカで、一度は日本の高校へ通ったものの、2006年には再び渡米をしてワシントン州の高校へ編入。中高生時代はバンド活動に夢中になり、Adobe Illustratorを使ってジャケットデザインなどをしていたという。

高校を卒業後、シアトルの回転寿司屋で働きながら「大きな目標もなくアメリカに居続けるなら、一度日本に戻ろう」と思い立ち、2010年、ダイニングバーを営む会社に就職した。

配属先は、テーブル着席で80名は座れるほどの大型店舗。社長からは、デザインができるならお店のメニュー表などを作ってほしいと声をかけられ、その後は同社のデザイン事業部を立ち上げることに。

気づけば6年の月日が経過していた。

キーボードを操作する左手のアップ写真

その頃、和田の心には新たな思いが芽生えていた。

──デザイナーとして独立しよう。背景にあったのは、ライフステージにおける自身の大きなターニングポイントだ。

受託でデザイン業務を請け負い始めた姿を見た社長からの「やるなら、ちゃんとお金をもらってやったほうがいい」という一言も、大きな後押しとなった。

「当時働いていた環境は恵まれていて楽しかったですし、今でも飲食業へのリスペクトはあります。ただ、次第にデザイナーとして活動することに生きがいを感じるようになっていました。そこで、自らを追い込むべく環境を変えたんです」

2019年にデザイナーとして独立した当時、和田は結婚をしていた。子宝にも恵まれ、ファミリーカーを購入して、中古マンションを買い、会社を辞めた。

2020年に新卒のデザイナー2名を迎え、2022年には株式会社WOSH designとして法人化。意を決して立ち上げたデザイン事務所は、いつしか、WOSH designとしてフリーランスの枠を超えた「会社」としての自我が育ち始めていた。

室内の仕切り窓に立てかけられた、WOSH designロゴの小さなアクリルキーホルダー

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2つの転機
WOSH design 法人化の裏側

フリーランスのデザイナーとして活躍する道がある。それでも、複数のデザイナーとともに法人を作った理由はどこにあったのだろうか。たずねると、和田にとって大きく2つのきっかけがあったのだという。

「公の機関と、大きな商談をしたことがあったのですが、そのときに聞かれたんです。もしも和田さんに何かがあった場合、その責任はどう担保されるんですか?って」

それまでは自分だけでやれる範囲で仕事をしていたこともあり、仕事のあり方を見つめ直す一つの契機であった。

そして同時期、これもまた偶然に「WOSH designで社員の募集はしていますか?」と声をかけてきたのが、現在も所属するデザイナーの諸星と太田の2人だ。

デザイン事務所を1人で営んでいた和田にとって、青天の霹靂だった。

「自分自身、誰かに教えてもらったこともないし、人を指導した経験もない。どうやって育成すればいいのか全くわからない状態でした。

それでも、ご縁を大切にしたいし、一緒に働きたいと思ってもらえるなら自分に何ができるだろうって考えたんです。

そこで、思い切って資金を金融機関から借りて、事務所のリノベーションに投資をしました。創業したばかりでも、まずは目に見える会社の印象を整えるところから始めたいと思ったのは、飲食店での経験が影響しているかもしれません」

和田は、期待に応える道を選んだ。

昔から、良い意味で周囲の期待をどう裏切るか? を考えることが好きだった和田にとって、これは当たり前の行動だったのかもしれない。

WOSH design 事務所内の様子

ふと、オフィスの内装に目をやると、自然なものと人工物が隣り合うようにレイアウトされたインテリアがあり、建物の随所にも遊びごころが散りばめられている──。

そのバランス感覚はそのまま、Webデザインにもきっと反映されているのだろうと納得させられる。

WOSH design 事務所内の壁に飾られた、インテリアの数々

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地方の小さなデザイン事務所から
始まった物語

和田にとってStudioとは何なのだろうか?

あらためて聞くと、彗星のごとく現れたツールだったと当時の印象を語ってくれた。2019年にデザイン事務所を立ち上げた当初、主に手掛けていたのはイラストやグラフィックであり、Webサイトの制作経験はなかったという。たまに依頼があればAdobe Museを使い、どうにか対応をしてきたそうだ。

「ところが、Adobe Museは2020年3月にサポートが終了してしまい、これからどうしていこうと悩んでいたときにStudioの存在をプレスリリースで知りました。直感的な操作性がありつつ、テンプレートにも依存しない自由度があったことが魅力でした」

さらにWOSH designの追い風として働いたのが、コロナ禍におけるオンライン会議の普及だ。これまでは愛知県を中心とした案件が多かった中、いつの間にか全国からの依頼が届くようになっていた。

「爆発的に依頼が急増した、というわけではありません。自然と、1つのサイトを作ったらそれが口コミや紹介を生み、次の依頼につながっていく。その繰り返しが今も続いているんです」

売上のシェアもWebサイトの制作が大半を占めるようになり、社内のデザイナーもStudioを使いこなすように。自社の強みである “ポップなイラスト” もいつしか注目を浴びるようになっていた。

くわえて、分業体制でデザインをするのではなく、一人ひとりがすべての工程を担える点もWOSH designの大きな特徴になっている。イラストからグラフィック、そしてWebデザインからStudioサイト構築に至るまでの全工程を、1人の担当者がクライアントに伴走しながら作り上げていくのだ。

今でこそ、それはWOSH designの強みとして多くのクライアントに選ばれる理由にもなっているが、当時の和田の心境はそう単純ではなかった。

ずっと心の中に、業界全体に対して感じていた遠巻きな印象やデザイナー間の交流への戸惑いがあったという。

象徴的なエピソードとして挙げたいのが、2024年に名古屋で開催された「Studio Talk in 名古屋」だ。これまでの和田は、デザイナーと交流する機会は極力減らし、登壇の機会があったとしても遠慮気味だったという。

「ここまで独学でやってきたので、素人ってことがバレたくなかったんです。できるだけ人の目に触れないようにしながら、でも活躍している人がいたら複雑な気持ちになることもあって。

でも初めて人前に出て、同業者と話してみたら、みんな同じような悩みを抱えていることに気づきました。

むしろ、さらけ出したほうが助け合えるかもしれないな、と。ようやく、つながりの大切さがわかるようになりました」

最近では、これまでに経験しなかったような大型案件にも声がかかったという。2025年4月にリリースされた「大阪大学 量子情報・量子生命研究センター(QIQB)」のサイトだ。

Macbookの画面に、大阪大学 量子情報・量子生命研究センター(QIQB)サイトが表示されている

起業して数年。仲間ができて、大きな会社の役にも立てるようになった。そのきっかけであり、手段としてStudioの存在は大きかったのだと、その思いをあらためて語った。

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デザインで広がる「共感」のカタチ

果たして、和田にとっての「デザイン」とは何だったのか。アメリカの高校に通いながらも、目標を見失い日本へ帰国。飲食店での仕事を続けながらデザイン事業部を立ち上げ、気づけば仲間とともにデザインを仕事にしている。

Purposeに掲げるのは「共感」を「創造」する、の言葉だ。

「これは難しい話ではなくて。要は自分たちのデザインを通じてお客様からの『いいね』を蓄積していって、波及させていくことの連続を大事にしているっていうことです。そのためには、お客様の中にある『伝えたい』を『伝わる』に変えることが大切になります。

デザインという手法を用いて、できるかぎりわかりやすく伝えたいと思っているんです。その『いいね』という思いを、今後は仲間のほうにもフォーカスしながら輪を紡げたらと思っています」

事務所の前で撮影した、和田力と家族と、スタッフの集合写真

独立を志し、背水の陣で挑んだ2019年。

仲間を迎え、さらに自らを追い込み挑んだ2022年。

未経験・地方在住でありながら、案件の規模を拡大させつつ、仲間との触れ合いや家族との絆を調和させていく働き方──。

そこに確かに存在する、WOSH designのデザインが新たなつながりを育むのかもしれない。

WOSH design

和田 力 (Wada Riki)
1989年カリフォルニア生まれ。アメリカで高校卒業後、シアトルの回転寿司店に勤務。2010年より愛知県豊田市の飲食企業に入社、13年に社内デザイン部を設立。19年より独立、リキワダデザイン事務所創業。その後、WOSH designに改称変更し法人化。

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