Webサイトの要件定義とは?必要な理由や手順、決めるべき11の項目を解説
Studio
2024.08.21
Updated:2025.05.26
本記事では、Webサイトの要件定義が必要な理由や手順、決めるべき項目などを解説しています。要件定義はWebサイト制作の中でも重要な工程なので、企業のWeb担当の人はぜひ参考にしてください。

要件定義は、Webサイト制作を円滑に進めるうえで重要な工程です。しかし、Webサイト制作における要件定義のやり方がわからない人もいるでしょう。
本記事では、Webサイトの要件定義が必要な理由や手順、決めるべき項目などを解説します。自社サイトを制作する予定がある人は、ぜひ確認ください。
Webサイト制作における要件定義とは
要件定義とは、Webサイトの新規制作やリニューアルを行う際に、Webサイトの仕様や制作体制などを決定することです。制作体制に関しては、プロジェクトチームの人数や関係部署、制作スケジュールなどを策定します。
要件定義で決めた内容は、制作チームがいつでも確認できるように、要件定義書に記載して保管します。
要件定義と要求定義の違い
要求定義と要件定義は、何を決めるのかで違いが見られます。両者の定義は以下の通りです。

要求定義と要件定義の両方を行う場合は、先に要求定義で要望をまとめてから、要件定義で実現方法を考えるという手順を踏みます。
要件定義が必要な理由

要件定義が必要な理由は、Webサイト制作を円滑に進めるためです。
要件定義を行わないと、デザインの方向性や実装するべき機能を、制作チームに共有できません。どのようなWebサイトを作れば良いかわからないため、作業に時間がかかったり、イメージと異なるWebサイトになったりする可能性があります。
あとになってWebサイトを修正しようとすると、作業の手戻りが発生し、スケジュールの大幅な遅れにもつながります。
Webサイトを滞りなく制作するには、要件定義を行い、制作チームとサイトのイメージを共有することが大切です。
Webサイトの要件定義を行う手順
Webサイトの要件定義は、以下の手順で行います。

ここからは、各手順の作業内容を解説します。要件定義をスムーズに進めるために、あらかじめ確認しておきましょう。
1.Webサイト制作を通じて解決したい課題を考える

「商品の売り上げを増やす」「採用を強化する」など、Webサイト制作を通じてどの課題を解決するか考えます。既存のサイトがある場合は、アクセス数やコンバージョン率などを分析し、リニューアルでどのように改善できるかを検討しましょう。
解決する課題によって、サイト制作の方向性が大きく変化します。
さまざまな部署の人の意見を聞きながら、自社サイトに何が求められているかを考えてみましょう。課題が多いときは「コンテンツ」「UI」「SEO」など、分類項目ごとに分類すると、何をするべきか整理しやすくなります。
また、Webサイトのペルソナも設定しておくと、課題解決の方向性を決めやすくなります。
2.課題を解決するための方向性を検討する

Webサイトのコンセプトやコンテンツ、機能に関するアイデアを出し、課題を解決するためにどういったサイトを作るか考えましょう。
たとえば、課題として商談数の不足が挙げられる場合、ホワイトペーパーの自動ダウンロードができるWebサイトを作ると解決できる可能性があります。
制作の方向性がまとまらないときは、競合他社のサイトではどういったコンテンツや機能があるか、参考にしても良いでしょう。
3.関係部署との合意形成を行う

Webサイトのコンテンツや機能が決まったら、デザイナーやエンジニアに共有します。デザインの方向性や技術的な制約を確認してもらい、問題なく制作できるかを専門的な視点から判断してもらいましょう。
制作に必要な工数も確認しておくと、スケジュール管理も容易になります。制作陣の確認が終わったら、上層部にもプロジェクトの内容を共有し、問題ないか確認してもらいましょう。
4.要件定義書を作成する
手順の1~3を経て決まった内容を、要件定義書にまとめます。
次に、以下の要項を記載します。

要件定義書は、関係者が後から制作の方向性を見直す際に使うため、わかりやすく作成することが大切です。
「Webサイト制作の目的」「プロジェクトの概要」など、項目ごとに見出しを作成し、各見出し内で必要な情報を簡潔に書きましょう。
Webサイトの要件定義で決めるべき11の項目
ここからは、Webサイトの要件定義で決めるべき11の項目を紹介します。
サイトを制作(またはリニューアル)したい背景や目的
プロジェクトの概要
Webサイトのターゲット
Webサイトの構成
Webサイトに実装したい機能
開発環境
インフラ要件
セキュリティ対策
リリース要件
運用保守の体制
法的要件関連(プライバシーポリシーや利用規約の整備など)
要件定義をスムーズに進めるために、あらかじめ確認しておきましょう。
①サイトを制作(またはリニューアル)したい背景や目的
自社の課題と、Webサイトを制作(またはリニューアル)することで、課題をどのように解決するかを記載します。
たとえば、以下のような目標を設定します。
Webサイトからの資料請求を10%増加させる
Webサイトを通じた商品の購入を10%増加させる
自社サイトからの求人への応募数を5%増加させる
具体的に目標数値も含めて書くことが大切です。背景や目的を制作陣に共有することで、目標を達成するためのより良いアイデアが生まれやすくなります。
②プロジェクトの概要
プロジェクトの概要とは、Webサイト制作陣の体制に関する情報です。
たとえば、以下の内容を記載します。

チーム体制やワークフローなど、文字だけでわかりにくい部分は図表も活用し、一目で内容を把握できる工夫も施しましょう。
③Webサイトのターゲット

どういったユーザーに対してWebサイトを制作するかを記載します。年齢や職業、趣味などを細かく設定する「ペルソナ」を決めると、ターゲットをよりイメージしやすくなります。
Webサイトのターゲットは、配色や文字フォントなど、デザインの方向性を決めるうえで重要な情報です。「大人っぽい雰囲気」「かわいらしいテイスト」など、デザインのイメージをあわせて記載すると、デザイナーが作業しやすくなります。
④Webサイトの構成
Webサイトのページの一覧や、各ページがどのような構造でリンクされるかを記載します。
全体の構造を図にしたサイトマップを作成すると、どのページがどのように関連するかを一目で確認でき、いっそうわかりやすくなります。

各ページに掲載するコンテンツの概要を示すと、デザイン制作がスムーズになるため、あわせて記載しましょう。
また、WebサイトをどのOSやブラウザに対応させるかも、構成作成の段階で決めておきます。
⑤Webサイトに実装したい機能
Webサイトに実装する機能によって、エンジニアの作業内容が大きく変わるため、要件定義の際に決めておきましょう。
機能の例として、以下が挙げられます。
パンくずリスト
お問い合わせフォーム
ログイン機能(会員限定ページを作る場合)
ナビゲーション
サイト内検索
アクセス解析関連の機能
Webサイトの目的やコンテンツを考慮して、必要な機能を考えましょう。機能の優先順位(必須、推奨、任意など)も決めておくと、開発陣のスケジュール管理が容易になります。
⑥開発環境
Webサイト制作を進めるために、必要な開発環境の要件を決めます。
要件の例として、以下が挙げられます。

Webサイトに実装する機能や保守性、エンジニアのスキルなどを考慮して、効率良く制作できる環境を整えることが重要です。
専門的な知識が必要であるため、エンジニアとよく相談しながら記載しましょう。
⑦インフラ要件

インフラ要件では、Webサイトを公開するために必要なサーバーやドメインを、どのように準備するかを記載します。
Webサイトを制作する際は、テスト公開するための検証環境と、ユーザーがWebサイトを閲覧するための本番環境が必要です。検証環境と本番環境のそれぞれでサーバーとドメインを使うため、両方のインフラ要件を決めましょう。
サーバーやドメインは、専門のサービスを契約することで利用できます。サービスによって費用が異なるため、予算の確認もあわせて行いましょう。
⑧セキュリティ対策
Webサイトのセキュリティ対策について、以下の内容を決めます。

Webサイトのセキュリティ対策が弱いと、システムダウンや情報漏洩が発生することで、ユーザーからの信頼を大きく損ねるリスクがあります。
一方で、セキュリティ対策を強くすると開発コストがかかる側面もあるため、情報の機密性によって、どういった対策をするか決めると良いでしょう。
また、セキュリティ対策に関しては専門的な用語が多数存在します。エンジニアとスムーズに話し合えるように、用語の意味をある程度勉強しておくと、進行がスムーズになるでしょう。
⑨リリース要件
リリース要件では、サイトを公開する際の決め事として、以下を策定します。

公開前のテストでWebサイトに不備が見つかった場合は、修正作業の時間が必要です。テストから公開作業まで落ち着いて実施できるように、公開日時はスケジュールに余裕を持たせて決めましょう。
⑩運用保守の体制
Webサイトを公開した後について、運用保守の体制やルールを決めます。
たとえば、以下の事項を策定します。

外部の制作会社に委託する場合は、運用保守を行ってもらう期間や更新依頼の窓口などを決めることで、運用保守まで安心して任せられます。
⑪法的要件関連(プライバシーポリシーや利用規約の整備など)

Webサイトに掲載する法的要件関連として、主にプライバシーポリシーと利用規約が挙げられます。
プライバシーポリシーは、ユーザーから収集した個人情報の使用目的や管理方法などを明文化したものです。プライバシーポリシーで記載する項目は以下が挙げられます。
取得する個人情報の利用目的
個人情報の管理
開示等の請求に応じる手続き
個人データの共同利用について
第三者提供について
お問い合わせ窓口
改正電気通信事業法への対応(Cookie利用など)
利用規約は、法的な要件について、Webサイトを利用する際にユーザーに理解してほしい点を明文化したものです。利用規約で記載する項目は以下が挙げられます。
サイト運営者
サイト利用規約適用の範囲
サイト利用規約の変更の通知
著作権や商標権、特許権などの知的財産権について
リンクについて
禁止事項
免責事項
損害賠償
制作をスムーズに進められるように、各ページに掲載する項目について、事前に整理しておきましょう。
Webサイトの要件定義で考慮すべきポイント
ここからは、Webサイトの要件定義で考慮すべきポイントとして、以下の3点を紹介します。
5W1Hを意識する
自社の課題だけでなくユーザーの視点に立つ
無理のないスケジュールを設定する
考慮すべきポイントを押さえることで、要件定義のクオリティがより高くなるため、確認しておきましょう。
5W1Hを意識する
5W1Hとは、6つの要素で情報を整理できるフレームワークです。Webサイトの要件定義を行う場合、5W1Hを活用することで以下の内容を整理できます。
5W1H | 整理できる内容 |
Why(なぜ) | ・自社が抱える課題 |
When(いつ) | ・Webサイトの制作の着手時期 |
Where(どこで) | ・社内の担当部署 |
Who(誰が) | ・制作を担当するデザイナーやエンジニア |
What(何を) | ・Webサイトのデザイン |
How(どのように) | ・使用するプログラミング言語やフレームワーク |
制作の目的やスケジュール、Webサイトのデザインなど、要件定義書に必要な項目を広く網羅できます。要件定義を行う際は、5W1Hから考え始めることでスムーズに進められます。
自社の課題だけでなくユーザーの視点に立つ

自社の課題を解決するのが目的ではなく、ユーザーにとって使いやすいWebサイトであるか意識することが大切です。
たとえば、自社サイトで「ユーザーの顧客情報を詳細に把握したい」という課題があるとします。しかし、自社の要望を優先してお問い合わせフォームの入力項目を増やすと、入力に手間がかかり、かえってユーザーの離脱率が高まる可能性があります。
自社の要望とWebサイトの使いやすさの両方を求めるのであれば、入力フォームの後にアンケートを表示させ、ユーザーの任意で入力してもらうのも、ひとつの方法です。
無理のないスケジュールを設定する

Webサイトの制作スケジュールに余裕がないと、制作メンバーが疲弊し、サイトの品質が低下します。また、制作中にイレギュラーが発生した場合、公開が遅れてしまう可能性もあります。
そのため、Webサイトの制作スケジュールは、作業にかかる工数の10~20%のバッファを持たせることが大切です。バッファがあることで、予期せぬトラブルにも対応しやすくなります。
Webサイトの制作は「Studio」の利用がおすすめ

社内でWebサイトを制作する場合は、ノーコードWeb制作プラットフォーム「Studio」の利用がおすすめです。
Studioはプログラミングの知識がなくてもWebサイトを公開できます。
ドラッグ&ドロップの簡単な操作だけで、デザイン作成や公開作業ができます。また、お問い合わせフォームやサイト内検索などの各種機能や、アニメーションの実装も可能です。
コーポレートサイトや店舗サイトなど、幅広い種類のWebサイト制作で活用できます。
Webサイトの要件定義は確実に行おう
要件定義は、Webサイト制作の方向性を決める重要な工程です。
要件定義があいまいだと、制作チームと認識に差異が発生し、イメージ通りのWebサイトを公開できない可能性があります。要件定義の段階で、どういったサイトを制作するかを明確にして、制作チームと共有することが大切です。
社内でWebサイトを制作する場合は、ノーコードで高品質なサイトを制作できる「Studio」の利用を、ぜひご検討ください。

Studio
次世代のノーコードWeb制作プラットフォームを謳うノーコードツールです。デザインから、公開、CMSまで、すべてがここに。