使い手にフィットする柔軟なデザインを。機能性と個性を両立させるSWANのテンプレート哲学
つるた ちかこ
2024.12.24
Updated:2025.01.10
洗練された美しさと機能性から高評価を得ているテンプレートデザイナー、SWAN 沢登さん。キャリアの変遷、Studioとの邂逅、そしてテンプレートデザイナーへの転機──。一つひとつ紐解いてみると、デザイナーとしての感性とマーケターとしての洞察力を併せ持つ、沢登さんならではの哲学が垣間見えました。

Profile
沢登 達也
SWAN
マークアップエンジニアからキャリアをスタートし、web制作・UI制作会社を経てnote株式会社に入社。メインのプロダクトデザイン業務に加えて、デザインシステム・アクセシビリティ・採用・マネジメントなど幅広く活動。現在はフリーランスとして、事業・組織をデザインでサポートしている。
ハイクオリティなWebデザインテンプレートを売買できるマーケットプレイス「Studio Store」。ビジネスからポートフォリオサイトまで、200点以上のテンプレートが販売されています。これらをデザインするのは「テンプレートデザイナー」と呼ばれるクリエイターたち。
なかでも、洗練された美しさと機能性から高評価を得ているテンプレートデザイナーが、SWAN 沢登さんです。プロダクトデザインからデザインシステム、アクセシビリティまで幅広い分野に取り組んできた豊富な経験を活かし、高品質なテンプレートを制作しています。
今回は、そんな沢登さんにインタビューを実施。キャリアの変遷、Studioとの邂逅、そしてテンプレートデザイナーへの転機──。一つひとつ紐解いてみると、デザイナーとしての感性とマーケターとしての洞察力を併せ持つ、沢登さんならではの哲学が垣間見えました。
キャリアの軌跡、テンプレートデザイナーへの転機

──まずは、沢登さんのキャリアについて教えてください。
現在はフリーランスのデザイナーとして活動しています。キャリアのスタートはWeb制作会社で、その後UI専門の制作会社を経て、note株式会社に転職しました。noteでは約6年間、様々なプロジェクトに携わりながら、デザインの幅を広げてきました。
──Studioを使い始めたきっかけを教えてください。
5〜6年前、当時勤めていたnote社内で新規企画が次々と立ち上がり、LPの制作が急増していた時期がありました。そのときは企画ごとにデザインと構築を並行して進めていたこともあり、実装作業の効率化が課題になって導入したのがStudioです。直感的な操作性に加え、実装コストを大幅に削減できたことで、制作フローが劇的に改善しました。
──その後、テンプレートデザイナーになった背景にはどんな思いがあったのでしょうか?
これまでデザイナーとして携わってきた仕事は、クライアントや依頼主から依頼をいただいて作るデザインが中心でした。もちろん、相手の要望に合わせてデザインを生み出していく工程も楽しいのですが「いつか自分で作ったデザインを、自分で決めて、自分で売ってみたい」という思いが常にありました。そんなタイミングに2023年にStudio Storeがリリースされて「これなら自分のデザインを販売できるのでは」と興味が湧いたんです。
また副業でコーポレートサイトなど大規模な制作に携わる中で、作業工数の多さに悩んでいたのですが、テンプレートとして公開しておけば副業でも一部を応用して活用できるな、と。
自分のデザインを販売するという夢の実現と、副業の効率化という現実的な課題解決を両立させる形でテンプレートデザイナーとしての活動をスタートしました。
──テンプレートを販売するまでにハードルに感じた部分はありましたか?
特にハードルに感じたところはなかったですね。ただ、どうしてもテンプレートデザインの優先度が低くなってしまう課題は今でもあります。会社員で働いていたときには、平日は会社の仕事、土日に副業やテンプレートデザイン制作とメリハリがつけられていたのですが、フリーランスになってからは、オンオフの切り替えがなく仕事ができてしまうので……。制作の時間を捻出するのが課題になっています。
自分の創造性を商品化する。テンプレートデザインならではの魅力
──実際にテンプレートを販売してみていかがでしたか?
単なる表現の場としての面白さだけでなく、マーケティング視点でも多くの学びを得られました。例えば、採用系LPは4月頃からじわじわと需要が高まり年末にピークを迎えるなど、時期によってニーズが推移することに驚きました。
また、無料のテンプレートを利用している方がSNSでサイトを掲載しているのを見かけたときには「こういう使い方もあるのか」と新たな気づきにもつながりました。利用している方から得られるフィードバックは、自分自身への刺激にもなりますし、なにより嬉しいですね。

──SWANさんは、有料・無料含めて11個のテンプレートを販売されています。無料のテンプレートを出品している意図があれば教えてください。
2つの理由があって、1つ目はStudio自体がFreeプランから利用できるサービスなので、気軽に「まずは始めてみよう」という方に無料のテンプレートを使っていただけたら、と。無料テンプレートは、より多くの方にStudioを活用していただくきっかけになると考えています。
2つ目は、有料テンプレートへのステップアップです。無料でLPを作成した方に「次はコーポレートサイトも作ってみよう」と発展的に使っていただけることを想定しています。
──無料のテンプレートを入口として、さらにステップアップしたサイトづくりに挑戦できるきっかけを提供されているんですね。
販売するアプローチ方法まで考えられる、その楽しさを実感してほしい
──沢登さんは普段どのようにテンプレートを制作されているのでしょうか?
Studio上でワイヤーフレームや構成を作ったあと、デザイン・実装を同時並行で進める方法を取っています。もともとデザイナー兼マークアップエンジニアとして働いていたので、作りながらデザインする方法が自分には合ってるんですよね。ただしアイデアに詰まった場合には、一度StudioのデザインをFigmaに移して検証するときもあります。
──FigmaからStudioにインポートするのではなく、StudioからFigmaに。意外な制作方法ですね。沢登さんがデザインする上で心がけていることを教えてください。
前職ではアクセシビリティやデザインシステムについて深く考える機会が多かったため、コントラストや可読性への配慮、本来伝えたい情報を邪魔しないシンプルさなど「誰にとってもよりよく機能するための道具」としてデザインする視点が根付いています。
また、テンプレートでも「個性」を出せる工夫を大切にしています。テンプレートを使うことで既視感のあるサイトにならないよう、同じテンプレートでも使う人によって異なる表現が可能になるよう設計しています。たとえば『BAZE /CORPORATE』ではテーマカラーを変えることで差別化できたり、ブログ&メディア用のテンプレート『cron - media』でも使う画像によって背景の色合いが変化したりと、それぞれのオリジナリティが出せるように制作しています。

──土台となるベースが整っているからこそ自由度高く表現できるのが沢登さんのテンプレートの魅力ですよね。販売する際に何か工夫されていることはありますか?
じつは、いろいろと試行錯誤を重ねているんですよ。一覧から選んでもらいやすくするために、ユーザーの反応を見てメイン画像を別パターンに入れ替えたり、サムネイルのロゴの位置や画像の要素は何度も変更したりしました。

▲サムネイルは文字や画像サイズの調整を重ねている
もともと「自分のデザインを販売したい」という想いがあったことにも通じるのですが、反応を見ながらいろいろと工夫を重ねるのが楽しいんです。商品自体のデザインだけでなく、販売のアプローチ方法まで考えられるのもテンプレートデザイナーならではの面白さ。今、デザイナーとして活動していてStudioの実装ができる人はぜひテンプレートデザイナーに挑戦してみてほしいです。
──最後に、沢登さんが描く未来を教えてください。
より多くの人に「SWANのテンプレートを使ってみたい」と思っていただけるような、新しい価値提案となるテンプレートを増やしていきたいですね。もともと大きな目標を掲げたり、座右の銘を語ったりするのが得意ではないので、これからも幅広くデザイナーとして活動しながら自分自身の未来につながる礎を築いていきたいです。

