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LP内製化の始め方|外注との比較で見る切り替えのタイミングと段階的な進め方

村上 悠希

2026.04.19

Updated:2026.04.19

    本記事では、外注と内製を比較しながら、どんな状況でランディングページ内製化への切り替えを検討する価値があるか、そして始める場合にどう進めると失敗しにくいかを整理します。

    LPを外注していると、修正のたびに見積もりと納期が発生し、改善サイクルが思うように回らない。そんな状況から「内製化」という選択肢が頭に浮かぶ方は多いです。ただ、内製化は「外注をやめて全部社内でやる」という二者択一ではありません。制作の頻度や改善の必要性によって、外注と内製を使い分ける判断が現実的です。

    本記事では、外注と内製を比較しながら、どんな状況で内製化への切り替えを検討する価値があるか、そして始める場合にどう進めると失敗しにくいかを整理します。


    外注と内製の選択は、作る場所ではなく改善を回せるかどうかで決まる

    LP制作の外注と内製は、どちらが優れているという話ではありません。制作の頻度、改善サイクルの必要性、社内リソースの状況によって、合う選択肢が変わります。

    大きな方向性としては、次のように整理できます。

    • LP制作が年に1〜3件程度:外注のほうが合いやすい

    • 月3件以上の制作があり、修正や改善を継続的に回したい:内製化の検討価値が高い

    • その中間:外注を残しつつ、更新頻度の高いページだけ内製化する併用型も選択肢になる

    内製化の目的は「制作費を削ること」ではなく、「企画から改善までを自社の判断スピードで回せる体制を作ること」にある点が重要です。丸井グループでは、エポスカードのIPコラボLP制作を内製化し、制作期間を平均44日から約20日へ約52%短縮、外注比でコスト約80%削減を実現しています。ただ、インタビュー内でも語られている通り、得られた最大の価値はコストではなく、修正・改善のハードルが下がったことで検証サイクルが回るようになった点でした。


    LP制作に必要な工程とスキルを整理する

    比較に入る前に、LP1本を作るまでに何が必要かを整理しておきます。どの工程を誰が担うかが、外注と内製の境界線です。

    工程

    主な作業内容

    必要なスキル

    企画・設計

    目的・ターゲット・訴求軸の整理、ワイヤーフレーム作成

    マーケティングの基礎、顧客理解

    デザイン

    ビジュアル設計、UI、コピーのレイアウト

    デザインの基礎、ツール操作

    実装

    デザインをWebページに反映、公開設定

    コーディング、またはノーコード制作ツールの操作

    運用・改善

    アクセス解析、ABテスト、継続的な改修

    分析スキル、改善施策の設計

    従来は「実装」工程にコーディング知識が必須だったため、多くの企業が実装以降を外注してきました。近年はノーコードの制作ツールが実用レベルに達し、実装工程で必要なスキルの種類が変わりつつあります。内製化が現実的な選択肢になってきた背景には、この変化があります。


    外注と内製を比較する5つの軸

    外注と内製は、次の5つの軸で比較するとそれぞれの向き不向きが見えてきます。

    制作スピード

    外注では、依頼から公開まで1〜2ヶ月程度が一般的です。修正が発生するたびに見積もり・依頼・納品のやりとりが挟まり、リードタイムはさらに伸びます。

    内製化すると、初期構築にかかる学習コストを除けば、公開までのリードタイムは大きく短縮できます。丸井グループでは、内製化後にデザイナーでない担当者でも約3時間でLPを完成させられる状態まで到達しています。

    コスト構造

    外注は案件ごとに制作費が発生する変動費型です。月の制作本数が増えるほど、コストが積み上がります。

    内製化するとコスト構造がツール利用料などの固定費中心に変わり、本数が増えても総額が伸びにくくなります。ただし初期構築や教育にかかる時間的なコストがあるため、月の制作本数が少ない場合は外注のほうが安く済むケースもあります。

    改善サイクルの速度

    ここが内製化の最大の価値です。外注では修正依頼のたびに決裁やコミュニケーションの手間がかかり、「このくらいの改善ならまあいいか」と見送られがちです。

    内製であれば、思いついた仮説をその日のうちに反映できます。複数の導入事例を横断すると、CMS導入の効果は「制作費の削減額」よりも「施策の回転速度」に現れる傾向があります。

    サイトを作ったり変更すること自体の売上寄与は多くありません。更新スピードが上がると、ABテストやヒートマップ分析を日常業務に組み込みやすくなり、結果としてCVRの改善にもつながる構造が見られます。

    ガバナンスと品質の担保

    外注には「プロが品質を担保してくれる」という安心感があります。一方で、注釈や免責事項の更新漏れ、デザインのばらつきなどは、外注だから自動的に避けられるというわけではありません。

    内製化でも、共通パーツを一元管理するコンポーネント機能や、変更可能な範囲を制限する設計を取り入れることで、ガバナンスと効率を両立できます。規制業種でもこのアプローチは機能しており、丸井グループでは金融特有の注釈・注意書きをコンポーネント機能で一元管理しています

    組織の学習

    外注を続けている限り、社内にはWeb制作の知見が蓄積されません。内製化の副次効果として「組織全体のWebリテラシー向上」が挙げられます。ベネッセでは、紙DM制作に強みを持つメンバーが月1回の講習会を通じてWeb制作スキルを身につけ、制作工数・コストを6割削減しつつ、進研ゼミ小学講座のCVRが昨対比139%に改善したと報告されています


    外注が合うケース、内製化が合うケース

    上記の比較軸をもとに、それぞれが合うケースを整理します。

    外注が合うケース

    • LP制作が年に1〜3件程度:制作頻度が低いと、内製化の初期投資が回収しにくい

    • 大規模・高難度のキャンペーンLP:ブランドムービーや特殊なインタラクションを要するLPは、専門的な制作会社の知見が活きる

    • 社内にWeb担当者のリソースが確保できない:内製化には作業時間に加えて学習時間も必要になる

    • 短期的なスポット施策:単発の施策で改善サイクルを回す必要がない場合

    外注を続けることには十分な合理性があります。内製化を急ぐ必要はありません。

    内製化の検討価値が高いケース

    • 月1件以上のLP制作が発生:同程度の制作頻度を持つ組織では、外注体制のままでは制作負荷がスケールしにくくなります

    • 継続的な改善サイクルを回したい:ABテストやヒートマップ分析を日常的に実施する前提では、修正のたびに外注する運用は相性が悪い

    • 公開後の修正頻度が高い:軽微な修正でも決裁・依頼のフローが毎回発生する状態は、内製化で解消しやすい

    • 隣接部門の工数も削減したい:営業チームがラフ案作成などに時間を使っている場合、内製化で工程全体を見直せる


    切り替えを判断する4つの軸

    内製化を検討する価値があると感じても、実際に動くべきかは組織の状況によります。判断の入り口として、次の4軸で自社の状況を整理するのが有効です。

    制作頻度:月に何件のLPを作っているか

    月の本数が多いほど、内製化の効果は高まります。判断の目安として「月3件」を一つの基準に置くと考えやすくなります。3件以下であっても、次に挙げる「改善サイクル」の重みが高ければ、内製化を検討する理由になります。

    改善サイクル:公開後にどの程度修正するか

    「作って終わり」のLPであれば、外注でも大きな問題は起きにくいです。一方で「公開後にABテストを繰り返し、反応を見ながら改善したい」という運用方針なら、修正ごとに外注するフローは現実的ではありません。公開後の修正頻度が高いほど、内製化の価値は大きくなります。

    組織のリソース:学習時間を確保できるか

    内製化には学習時間が必要です。導入事例を横断すると、初期は制作パートナーの支援を受けつつ、運用フェーズから自走に切り替える設計が共通して見られます。社内に「学習のための時間」を確保できるかは、導入の前に必ず確認しておきたい点です。

    業界要件:規制・セキュリティの前提条件は何か

    金融・教育・公共系など、規制の強い業界では、ツールのセキュリティ水準や日本語サポートの有無が選定の前提条件になります。大手企業・国内企業のツール選定では、日本語サポートの有無が繰り返し決定打になる傾向が観察されており、機能比較の前に非機能要件を確認する順序が実態に即しています。


    内製化を段階的に始める5つのフェーズ

    内製化は一気に進める必要はありません。準備→ツール選定→パイロット→量産体制→改善サイクル、という段階を踏むと、リスクを抑えながら現実的に進められます。

    フェーズ1:目的とスコープを決める

    最初にやるのは、何のために内製化するかの明確化です。制作費削減だけを目的にすると、組織の学習や改善サイクルといった本来の価値を見落としてしまいます。

    目的の例として、次のようなものが挙げられます。

    • 改善サイクルを速く回す:公開後の修正・ABテストを現実的にする

    • 制作コストを構造的に下げる:変動費型から固定費型のコスト構造に移す

    • 組織のWeb運用スキルを底上げする:外注依存を減らし自走体制に移行する

    • 隣接部門の工数を削減する:ラフ案作成や社内調整のプロセスを見直す

    目的が決まったら、最初に内製化するLPの範囲を1本〜数本に絞ります。いきなり全LPを対象にするのは避けます。

    フェーズ2:ツールを選ぶ

    ツール選定では、機能一覧で比較する前に、次の3点を確認しておきます。

    • セキュリティ・サポートの前提条件:業界の規制要件、日本語サポートの有無

    • 非エンジニアでの運用可否:初期構築後、社内メンバーだけで更新を回せる操作性か

    • 既存の制作フローとの接続性:デザインツールとの連携、CMS機能の有無

    代表的な選択肢は次の通りです。ここでは「どれが一番優れているか」ではなく、「どの状況にどれが合うか」という観点で整理します。

    ツール

    合いやすい状況

    特徴

    Studio

    月1件以上のLP制作があり、デザイン自由度を重視する場合

    ノーコードでWebサイトの制作・公開・運用ができるプラットフォーム。国内企業で日本語サポートが整っている

    ペライチ

    初めてLPを作る、個人や小規模事業者で素早く1本作りたい場合

    豊富なテンプレートと簡易な操作で初心者でも始めやすい

    Wix

    多機能を1つのツールで完結させたい場合

    世界で広く使われているビルダー。ECやブログを含む幅広い機能

    HTMLコーディング

    特殊な表現や独自システム連携が必要な場合

    表現の自由度は最も高いが、更新のたびに開発工数が発生する

    どのツールも向いているケースと向いていないケースがあります。自社のLP制作頻度・改善サイクル・運用体制と照らし合わせて選ぶのが現実的です。

    フェーズ3:テストで1本作る

    いきなり全LPを内製化しようとせず、まずは1本だけ内製で作ってみます。パイロットの目的は「自社メンバーだけで公開まで回せるか」を確認することです。

    このフェーズでは、制作パートナーの支援を受けながらコンポーネント設計とマニュアル整備を先に行い、運用フェーズから自走に切り替える進め方が現実的です。パイロットで得られる学びは次のようなものです。

    • 社内メンバーが実際にどの程度の時間でLPを制作できるか

    • どの工程でつまずきやすいか(デザイン、コンテンツ設計、公開設定など)

    • 既存の業務フローと何が衝突するか

    パイロットを通じて、内製化の前提条件が自社で満たされるかを確認できます。

    フェーズ4:コンポーネントとガバナンスを整備する

    パイロットが成功したら、次は量産体制の構築です。ここで鍵になるのがコンポーネント設計です。共通パーツを事前に設計しておくと、1ページあたりの制作時間が短縮されるだけでなく、更新時の品質ばらつきやガバナンスリスクも抑えられます。

    事例ベースでも、コンポーネント設計への投資が内製化の持続性を左右する傾向が見られます。更新頻度の高い組織では、事前に数百種類のコンポーネントを用意し、パーツを選んで配置するだけでページが完成するフローを構築しているケースもあります。規制業種では、共通パーツで注釈や免責事項を一元管理することで、変更漏れのリスクを構造的に下げられます。

    フェーズ5:運用と改善サイクルに乗せる

    量産体制ができたら、改善サイクルを回し始めるフェーズです。ここまでくると、内製化は「制作の場所を変えた」ではなく「検証スピードを変えた」という意味を持ち始めます。

    制作期間が短縮された組織では、「作って終わり」から「作って改善し続ける」体制への転換が共通の到達点として観察されています。修正コストが低いからこそ、ABテストやヒートマップ分析による継続改善が現実的になる。スピードは「速く作る」だけでなく、「速く学ぶ」ための前提条件として機能します。


    内製化でつまずきやすい3つのポイント

    内製化を進める中でよくあるつまずきを、抽象化して整理します。

    目的がコスト削減だけになっている

    コスト削減を唯一の目的にすると、初期の学習コストや運用負荷に対する理解が社内で得られにくくなります。「改善サイクルの高速化」や「隣接部門の工数削減」といった副次的な価値も含めて目的を設計するのが、現実的な進め方です。

    一気に全LPを内製化しようとする

    テスト段階を経ずにいきなり全LPを内製化すると、学習と運用が同時進行になり、品質にばらつきが出やすくなります。最初は1本、次に関連LPへ、と段階を踏むほうが失敗しにくい進め方になります。

    運用フェーズでも外注依存が残っている

    初期構築を内製で行っても、運用フェーズでエンジニアや外注が必要な設計になっていると、内製化のメリットは半減します。ノーコード制作ツール導入の可否は「初期構築後、非エンジニアだけで運用を回せる状態にできるか」で判断すると、構造的な課題を見落としにくくなります。


    内製化は、速く学ぶための体制づくり

    LP内製化の本質は、制作費を削ることではなく、企画から改善までを自社の判断スピードで回せる体制を作ることにあります。導入事例を横断すると、CMS導入の効果は削減額より施策の回転速度に現れる傾向が繰り返し観察されており、更新速度の向上がCVR改善や制作量の増加につながる構造が共通して見られます。

    外注には外注の合理性があります。内製化を急ぐ必要はなく、制作頻度と改善サイクルの必要性をもとに、自社にとって現実的な配分を考えるのが実務に即した進め方です。もし月3件以上のLP制作があり、公開後の改善を本気で回したいと感じているなら、段階的な内製化は検討する価値があります。

    LP制作ツールの選定基準については、比較と選び方をまとめた記事も参考になります。

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    村上 悠希

    広告代理店・SaaS企業を経て、現在はStudioでマーケティングを管掌。


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