Link-Uデザイン部部長が実感した、 ノーコードの恩恵。
"ビジネス上のメリットは大きかった。しかし、それと同じくらい、デザインする楽しさを強く感じた。"

中田 雄太
Nakata Yuta
"ビジネス上のメリットは大きかった。しかし、それと同じくらい、デザインする楽しさを強く感じた。"

中田 雄太
"ビジネス上のメリットは大きかった。しかし、それと同じくらい、デザインする楽しさを強く感じた。"

中田 雄太
Nakata Yuta
ノーコードはWebサイト制作にどんな恩恵をもたらすのか? すぐに思いつくのは、工数の削減や制作のインハウス化など、ビジネス上のメリットだろう。 しかしその先には、デザイナーのクリエイティビティが刺激される、新しいWEB制作の形があったとLink-Uデザイン部部長・中田雄太氏は語る。
「もちろんビジネス上のメリットは大きかった。しかし、それと同じくらい、デザインする楽しさを強く感じた」 自らデザインから構築まで手がけたコーポレートサイトのリニューアルの舞台裏を見てみよう。
デザイン中に、インスピレーションがどんどん産まれる
株式会社Link-Uは2013年の創業から順調に事業を拡大させ、現在は小学館のマンガワン、集英社のゼブラック、NHK出版のポケット語学など、多くのアプリの開発運用を手がける企業である。
2020年7月に東証一部への市場変更を果たし、事業成長により一層力を入れる一方、「会社の顔」であるコーポレートサイトの更新に課題を感じていた。
「元々コーポレートサイトは外部の会社にWordPressで制作してもらって、社内で更新する方式。ただ、上場に伴い、IR情報を加えたり、新しいページを追加したいと思った時に、実装までのタイムラグが大きかった」と中田は言う。

修正箇所を蓄積し、まとめて依頼してから実装まで数ヶ月。足の遅さにもどかしさを感じた。
また、追加実装のたびにかかる費用も気になっていた。一回の依頼に付き、10万単位で費用が発生する。大きい金額ではないが、コーポレートサイトを長期で運用するとなると馬鹿にならない。
2021年初夏。よりフットワーク軽く自社のIR情報を発信したいという思いで、リニューアルプロジェクトがはじまった。社内のエンジニアリソースを割けない中、デザイナーだけで実制作がほぼ完結し、修正もスピーディーに行いたい。それを実現するベストなツールが何かと考えた時に、 一番に浮かんだのはSTUDIOだった。
「個人的に友人とWebサイトを作っていて、そこでSTUDIOを使っていた。エンジニア工数を使わずに、デザイナー自身が思い描いたイメージをそのままWebサイトに反映できることを実感し、これならコーポレートサイトでも行けると」
正直見切り発車の面もあったと中田は笑いながら振り返るが、制作時の感想を聞くと「楽しかった」と言う言葉が返ってきた。
「従来の制作工程では、デザインの細かい表現がコーディングの際に表現しきれないことがありました。それがSTUDIOでは自分自身で満足いくまで表現を追求できた」

一般的なWebサイト制作では、デザインと実装工程を異なる担当者が担う。デザイナーとエンジニアがそれぞれの専門分野に専念し技術の高度化が進む一方、コミュニケーション課題は避けて通れない。
エンジニアがコーディングしたサイトをテスト環境にアップロードし、デザイナーを始めチームメンバーがレビューを入れ、修正後に再度アップロードして……。そんなやりとりの中では実現しきれなかったデザインのエッセンスを、STUDIOは拾い上げた。
「アニメーションの実装も簡単ですよね。微妙な速度や動きの違いを、数値をちょっと調整するだけで、即座にプレビューできる。僕の場合、Figmaを使わずにラフデザインからSTUDIOで作っていたので、あれこれ試しながらデザインをしているうちに、構築まで完了していると言う感覚」
デザインと実装の境目がなくなったことにより、作りながらいろいろなインスピレーションも湧いてくる。例えば、オフィスの地図にさりげなく入った小さなモーション。
「この羅針盤をくるっとする動きも、デザインしている中で自然と思いついたもの。こういうデザイン上の小さいこだわりを、コーポレートサイトには仕込みました」

利便性とデザイン性の稀有な両立
試行錯誤を経て、コーポレートサイトを同年11月にリリース。プロダクトやIR情報はCMSを実装し、バックオフィスチームが簡便に更新できるように設計した。
CMSの導入には不安もあったが、「WordPressよりも圧倒的に使いやすく、デザイナーでも問題なく実装できた」という。
ファーストビューには変則的な二窓のカルーセル。
「漫画アプリの会社という印象を持たれることが多いんですが、技術ドリブンの会社ということを見せたかった。技術と人で世界の課題を解決するというメッセージをファーストビューで表現しました」
デザインのエッセンスを随所に仕込んだコーポレートサイトのリニューアルは、ビジネス観点でもメリットが大きかった。
外注からインハウスに切り替えたことにより、改築のたびに十万以上かかっていたコストを全て削減。
また、エンジニアが関わる作業も、デバックやサーバーのチェックなど最小限だったため、従来の制作体制の10分の1にまで抑えられた。
工数を削減する利便性と、表現上のこだわりを実現するデザイン性。中田が得た実感は、やがて部署を超えて社内にも広がっていく。


「事業部からサービスのためのランディングページが欲しいと言われた時、STUDIOがまさに最適だと思いました」
デザイン部がデザインだけでなく実装まで主導できるという利点は、スピード感を重視するプロダクトの分野においても同様に活かされる。
直近リリースした海外市場向けマンガプラットフォーム「Comikey」の特設ページ。国内のクリエイターに向けてComikeyに掲載する作品を募集する窓口となるページで、リリースまでのスピード感を重視しつつも、シンプルな構成を盛り上げるようにデザインをアドリブで入れていった。デザイン・実装にかかる時間も、従来の2週間から1週間にまで短縮された。
想定外のメリットもあった。社内に関係者が完結していたコーポレートサイトとは異なり、Comikeyのようなサービスでは社外にもクライアントとなる企業が存在する。
「外部クライアントのレビューが格段に楽になりました。事業部の担当者からクライアントにデザインの確認を依頼するとき、修正が入ってもデザイナーだけで作業が完結する。」
コーポレートサイト、サービスページの制作を経て、STUDIOが事業を加速されるという期待は確信に変わった。現在は部署のデザイナーを集めて、講習会を実施しているという。
「STUDIOの一番いいところは、イメージをカタチにするまでのスピードがすごく早い。ビジネス的なメリットに繋がるのはもちろん、デザイナーとしてもインスピレーションが湧いてくる」と中田は語る。
Web制作の現場における分業体制が浸透した昨今、デザイナー自身が手を使って一つの制作物を作り上げる喜びはどうしても遠くなった。
ものづくりの楽しさをデザイナーが再び感じられること。それこそがノーコードの最大の恩恵なのかもしれない。
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中田 雄太
Nakata Yuta
新卒デザイナーとしてサイバーエージェントに入社。ゲーム等の開発運用に従事後、株式会社Link-Uに転職しサービスの立ち上げや開発に携わる。メンバーの増加に伴いデザイン部を立ち上げ、「メンバーが働きやすく、いいものを作り続けられる居場所づくり」をすべくマネジメント業務を行う。
https://www.link-u.co.jp/