IRサイト制作の費用相場と外注先の選び方
村上 悠希
2026.07.31
Updated:2026.07.31
IRサイトの制作費用は、既存デザインを活用する小規模なものなら50万〜200万円、オリジナルデザインの中規模サイトで200万〜500万円、多言語対応を含む大規模サイトでは500万円以上が目安です。 ただしIRサイトは公開後も決算ごとに更新が続くため、制作費だけでなく運用コストまで含めて計画する必要があります。費用の内訳と相場、IRサイトならではの外注先の選び方をまとめました。

村上 悠希
2026.07.31
Updated:2026.07.31
IRサイトの制作費用は、既存デザインを活用する小規模なものなら50万〜200万円、オリジナルデザインの中規模サイトで200万〜500万円、多言語対応を含む大規模サイトでは500万円以上が目安です。 ただしIRサイトは公開後も決算ごとに更新が続くため、制作費だけでなく運用コストまで含めて計画する必要があります。費用の内訳と相場、IRサイトならではの外注先の選び方をまとめました。

IRサイトの制作費用は、既存デザインを活用する小規模なものなら50万〜200万円、オリジナルデザインの中規模サイトで200万〜500万円、多言語対応を含む大規模サイトでは500万円以上が目安です。
ただしIRサイトは公開後も決算ごとに更新が続くため、制作費だけでなく運用コストまで含めて計画する必要があります。費用の内訳と相場、IRサイトならではの外注先の選び方をまとめました。
なお、既存サイトの作り直しを検討している場合は、現状の課題整理から進め方までを解説したIRサイトリニューアルの進め方もあわせてご覧ください。
IRサイトの制作費用は、デザインの自由度とページ規模、多言語対応の有無で大きく変わります。おおまかな目安は次のとおりです。
規模感 | 費用の目安 | 想定されるケース |
|---|---|---|
小規模(テンプレート・既存デザイン活用) | 50万〜200万円 | 上場準備中〜上場直後で、必須コンテンツを揃えたい |
中規模(オリジナルデザイン) | 200万〜500万円 | コーポレートサイトと一体で信頼感を訴求したい |
大規模(多言語・コンテンツ拡充) | 500万〜2,000万円程度 | 海外投資家向けの英文開示や統合報告書コンテンツまで含める |
金額に幅があるのは、IRサイトが「どこまでを自動化し、どこまでを作り込むか」で工数が大きく変わるためです。特に株価情報や適時開示情報の自動連携、英文対応の範囲は、見積もりを左右する主要な変数になります。大規模帯の上限に近づくのは、英文開示に加えて統合報告書やIRコンテンツを幅広く作り込むケースで、多くの企業はこの範囲内に収まります。
IRサイトの見積もりは、一般的なWebサイトの項目に加えて、IR特有の項目が含まれます。
ディレクション・設計:全体の2〜3割を占めることが多い項目です。IRサイトでは開示ルールを踏まえた情報設計が必要になるため、一般的なサイトより設計の比重が高くなります
デザイン・実装:トップページと下層ページのデザイン、コーディングの費用です。ページ数と独自デザインの範囲で変動します
IR情報配信サービスとの連携:株価チャート、適時開示、電子公告などを自動表示する外部サービスの導入・連携費用です。月額利用料が継続的に発生します
多言語対応:英文サイトを用意する場合、翻訳費と実装費が追加されます。対象ページの範囲によって30万円程度から大きく変動します
コンテンツ制作・撮影:経営陣の撮影、株主・投資家向けメッセージの原稿制作などです
どのコンテンツをどこまで用意するかで、設計とデザインの工数は変わります。IRサイトに掲載すべきコンテンツの全体像は、IRサイトの目的と必要なコンテンツを解説した記事にまとめています。
株価情報や適時開示を自動で表示する仕組みは、連携の方法によって初期費用と運用負荷が変わります。主に3つの方法があります。
配信サービスの部品を埋め込む方法:株価チャートや適時開示の一覧を、専門サービスが提供する部品としてページに組み込みます。実装が比較的軽く、開示情報の更新も自動化できますが、月額の利用料が継続的に発生します
API連携で自社サイトに取り込む方法:表示するデザインの自由度は高くなりますが、実装工数が増えるぶん初期費用は上がります
社内で手動更新する方法:外部サービスを使わず、担当者がCMSで都度掲載します。月額利用料は抑えられますが、更新の手間と掲載遅れのリスクが残ります
どの方法が適しているかは、開示情報の更新頻度と、社内で更新を回せる体制があるかで決まります。更新頻度が高いIRサイトほど、手動更新にかかる人件費や掲載遅れのリスクが積み上がります。自動連携は初期費用こそかかりますが、更新1回あたりの手間をゼロに近づけられるため、更新回数が多いほど早く元が取れます。
IRサイトは公開してからが本番です。四半期ごとの決算発表、適時開示、株主総会関連の更新が確実に発生するため、運用費は避けられない固定的なコストになります。
サーバー・CMS利用料:月額数千円〜数万円程度
IR情報配信サービス利用料:月額数万円程度から
保守・更新代行費:更新を外部に委託する場合、年間50万〜200万円程度が目安です
見落とされやすいのは、更新代行の積み上がりです。決算資料の掲載やニュース追加のような定型的な更新でも、1回ごとに外注費と依頼のやりとりが発生する契約だと、年間の運用費が制作費に迫ることもあります。契約前に「どの更新が月額に含まれ、どこからが追加費用か」を確認しておくことが重要です。
IRサイトの制作期間は、規模と連携の範囲によっておおむね次のとおりです。あくまで目安で、社内の意思決定や開示部門との調整に時間がかかると、これより延びることがあります。
小規模(テンプレート・既存デザイン活用):1〜3ヶ月程度
中規模(オリジナルデザイン):2〜4ヶ月程度
大規模(多言語・IRサービス連携・コンテンツ拡充):4〜6ヶ月以上
特に上場準備中の企業は、上場日から逆算してスケジュールを組む必要があります。IR情報配信サービスの契約や英文翻訳は外部の事業者との契約ややり取りが必要で、社内の作業だけでは進められない工程のため、早めに動き出しておくと余裕を持って公開できます。
IRサイトの依頼先は、大きく3つのタイプに分けられます。それぞれ得意領域と費用感が異なります。
タイプ | 強み | 向いているケース |
|---|---|---|
IR支援の専門会社 | 開示実務・翻訳・統合報告書まで一気通貫で対応 | 上場企業として開示体制全体を整えたい場合 |
Web制作会社 | デザイン品質とブランド表現 | コーポレートサイトと合わせて信頼感を高めたい場合 |
CMS・ノーコードツール+制作パートナー | 費用を抑えつつ、更新を社内で回せる体制を作れる | 上場準備期や、運用コストを抑えたい場合 |
どのタイプでも共通して確認したいのは、制作だけでなく「公開後の更新をどう回すか」の提案があるかどうかです。制作費が安くても、更新のたびに費用と時間がかかる体制では、総コストで割高になることがあります。制作会社選び全般の考え方は、信頼できるホームページ制作会社の選び方でも解説しています。
一般的なWebサイトの選定基準に加えて、IRサイトでは次の4点を確認しておくと、依頼後のミスマッチを防げます。
上場企業サイトの制作実績:IRサイトには、投資家が期待する情報構成の型があります。上場企業での制作実績があれば、必須コンテンツの抜け漏れを防ぎやすくなります
IR情報配信サービスとの連携経験:適時開示や株価情報の自動連携は、対応経験の有無で構築の確実さが変わります。利用予定のサービス名を伝えて、連携実績を確認してみてください
セキュリティと安定性への配慮:IRサイトは企業の信頼性を映すサイトであり、改ざんや長時間の表示停止は大きなリスクです。インフラの管理体制や障害時の対応を確認します
英文開示・アクセシビリティへの対応力:海外投資家対応や、幅広い利用者への配慮が求められる場合、対応できる体制かを見ておきます
IRサイトの費用は、要件を整理することで無理なく抑えられる部分があります。
作り込む範囲を絞る:すべてのページをオリジナルデザインにする必要はありません。トップと主要ページに投資し、資料掲載ページは定型のレイアウトにすると、品質を保ちながら費用を抑えられます
自動連携できる情報は自動化する:適時開示や株価情報は、配信サービスとの連携で手動更新をなくせます。初期費用はかかりますが、更新のたびの人件費と掲載遅れのリスクを減らせます
定型的な更新を社内で回せる仕組みにする:ニュース追加や資料掲載のような更新を担当者が自分で行える仕組みにすると、更新代行費を構造的に減らせます
3つ目の効果は事例からも確認できます。IRサイトではなくアプリ関連サイトの事例ですが、トヨタグループのトヨタファイナンシャルサービスでは、サイト更新を外部に依頼するたびに1ページあたり約20万円の外注コストと半月〜1ヶ月の期間がかかっていました。ノーコードツールのStudioで更新を内製化した結果、更新は最短1時間〜最長1日になり、年間100万円以上のコスト削減につながっています(トヨタファイナンシャルサービスの導入事例)。更新頻度が高いサイトほど、「誰が更新するか」の設計が費用対効果を左右します。
IRサイトの場合は、開示ルールへの対応など固有の要件を満たせるかの確認が前提になりますが、決算ごとの定型更新を社内で完結できる体制は、運用費を抑える有力な選択肢になります。
要件を整理してから相見積もりを取る:必要なページ、多言語の範囲、連携するIRサービスを揃えて依頼しないと、各社の見積もりを比較できません
運用費まで含めて総額で比較する:制作費の安さだけで選ぶと、更新のたびの追加費用で逆転することがあります。3年程度の総コストで見比べると判断しやすくなります
「一度作れば終わり」と考えない:IRサイトは決算ごとに更新が続くサイトです。制作時点で運用フローまで設計しておくことが、掲載遅れや情報の陳腐化を防ぎます
IRサイトの制作費用は、小規模なら50万〜200万円、オリジナルデザインで200万〜500万円、多言語対応を含む大規模サイトで500万円以上が目安です。ただしIRサイトは更新が続くことが前提のサイトのため、制作費よりも運用費の構造が総コストを左右します。
外注先は、開示実務まで任せたいならIR支援の専門会社、ブランド表現を重視するならWeb制作会社、費用を抑えて更新を社内で回したいならCMSやノーコードツールと制作パートナーの組み合わせが候補になります。まずは自社に必要なコンテンツと更新頻度を整理し、運用まで含めた総額で見積もりを比較することから始めてみてください。
広告代理店・SaaS企業を経て、現在はStudioでマーケティングを管掌。
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