ブランドサイトを作る6つの手順と費用の目安
村上 悠希
2026.07.31
Updated:2026.07.31
この記事では、ブランドサイト制作の全体手順、発注先ごとの費用の目安、そして自社で作るか外注するかの判断軸を、実際の事例とあわせて整理しました。世界観の表現と公開後の運用まで見据えて検討する際の参考としてご活用ください。

村上 悠希
2026.07.31
Updated:2026.07.31
この記事では、ブランドサイト制作の全体手順、発注先ごとの費用の目安、そして自社で作るか外注するかの判断軸を、実際の事例とあわせて整理しました。世界観の表現と公開後の運用まで見据えて検討する際の参考としてご活用ください。

ノーコードツールや生成AIの普及で、サイトを「作る」こと自体のハードルは下がりました。だからこそブランドサイトでは、手順どおりに作れるかよりも「そのブランドらしさ」を表現できるかが重要です。世界観や価値観を具体的な表現に落とし込み、公開後も保ち続けられるかで仕上がりが決まります。
目的とコンセプトを固め、それを一本の軸としてコンテンツ設計・デザイン・構築・公開・運用をつなげることで、そのらしさが伝わるサイトになります。
この記事では、制作の全体手順、発注先ごとの費用の目安、そして自社で作るか外注するかの判断軸を、実際の事例とあわせて整理しました。世界観の表現と公開後の運用まで見据えて検討する際の参考としてご活用ください。
ブランドサイトは、特定の商品・サービスやブランドの世界観を伝え、共感やファンを育てることを目的としたWebサイトです。
企業全体の情報を幅広く伝えるコーポレートサイトが、取引先・求職者・株主など多様な読者を想定するのに対し、ブランドサイトは購入意欲のある層や、ブランドに関心を持つ層へ的を絞ります。そのため、情報量よりも世界観の表現や体験の質が重視されます。
両者の違いをもう少し整理すると、次のようになります。
観点 | ブランドサイト | コーポレートサイト |
|---|---|---|
目的 | ブランドの世界観・価値の訴求 | 企業情報の網羅的な発信 |
主な読者 | ブランドに関心を持ち始めた層・既存ファン | 取引先・求職者・株主など |
評価軸 | 世界観・体験の質 | 信頼性・情報の充実度 |
デザイン | ブランドイメージ重視 | 誠実さ・わかりやすさ重視 |
ブランドサイトの目的や役割、参考事例については、ブランドサイトの基礎をまとめた記事もあわせて参考になります。
ブランドサイトは、目的の言語化から運用設計までを順に進めることで、ぶれのない一貫したサイトになります。
各ステップは「何をするか」だけでなく「なぜ必要か」を意識して進めます。ブランドサイトは世界観という抽象的な軸で全工程がつながっているため、前工程の意図が曖昧だと、デザインや実装の段階で「これは世界観に合っているか」を判断できず、作り直しが発生しやすくなります。目的を言葉にしておくことが、後工程の判断を速くし、手戻りを防ぎます。
最初に、そのブランドで「誰に何を感じてほしいか」を言葉にします。ここが曖昧なままデザインに進むと、見た目は整っても伝わらないサイトになりがちです。
たとえば「毎日の暮らしに、ひとさじの贅沢を」「初心者でも失敗しないアウトドア」のように、提供する情緒的な価値を一文で言い切ります。機能や価格ではなく「どんな気持ちにさせたいか」で書くのがポイントです。
この一文が、後のデザインの配色・写真のトーン・言葉づかいすべての判断基準になります。関係者間で共有し、迷ったらここに立ち返れる状態にしておきます。
次に、届けたい読者像と、その読者に届けたい「体験・感情」を具体化します。ブランドサイトで定義すべき価値は、スペックや価格などの機能的な優位性ではなく、「このブランドに触れたとき、どんな気持ちになってほしいか」という情緒的な価値です。
たとえば同じ商品でも「安さ」を訴えるのか「所有する誇り」を訴えるのかで、写真の選び方も言葉も大きく変わります。読者像と届けたい感情がはっきりするほど、載せるべき表現と省くべき情報の判断がしやすくなります。
コンセプトと読者像をもとに、必要なコンテンツを洗い出します。ブランドサイトでよく用いられるのは次のような要素です。
ブランドストーリー:成り立ちや込めた思いを伝え、共感の入り口にする
商品・サービス紹介:特徴や魅力を、世界観に沿った表現で見せる
ブランド体験コンテンツ:写真・動画・インタラクションで世界観を体感させる
利用者の声:第三者の評価で信頼を補強する
コンセプトを視覚に落とし込む工程です。配色・書体・余白・動きなどが、ブランドの印象を大きく左右します。
同時に、トップページから各コンテンツへの導線を設計し、読者が迷わず世界観に浸れる構成を組み立てます。
デザインをもとに、実際のサイトを組み上げます。制作会社に依頼する方法のほか、ノーコードツールを使って自社で構築する方法もあります。
公開前には、スマートフォン表示の崩れや読み込み速度、リンク切れなどを確認しておきます。
ブランドサイトは公開して終わりではありません。アクセス状況を見ながらコンテンツを追加・改善して鮮度を保ちますが、それと同じくらい大切なのが世界観の一貫性です。
更新を重ねる中で、担当者や時期によって写真のトーンや言葉づかいが少しずつ変わると、ブランドの印象がぶれてしまうことがあります。数値の改善だけを追うのではなく、使う写真・色・言葉の基準をあらかじめ決めておくと、鮮度と世界観を両立しやすくなります。
更新のたびに外部へ依頼する体制だと、鮮度の維持にコストと時間がかかります。更新を社内で回すのか外部に委ねるのかも、この段階で見通しを立てておきます。
費用は、サイトの規模と発注先によって大きく変わります。
小規模でコンセプトを簡潔に伝える構成なら50万〜100万円程度、複数ページで作り込む場合は数百万円規模になることもあります。あくまで目安として、発注先ごとの傾向を整理します。
発注先 | 費用の傾向 | 向いているケース |
|---|---|---|
制作会社 | 高め | 世界観の設計から一括で任せたい |
フリーランス | 中程度 | 予算を抑えつつ専門性も確保したい |
自社制作(ノーコード等) | 低め | 更新頻度が高く、内製で運用したい |
上記は一般的な目安です。ブランドサイトは写真・動画・独自のインタラクションなど作り込みの度合いで費用が大きく変わり、世界観を重視するほど上振れしやすい傾向があります。見積もり時は「どこまで作り込むか」を先に決めておくと、金額の妥当性を判断しやすくなります。
制作費だけでなく、公開後の更新・保守にかかる運用費も含めて検討すると、実態に近い判断ができます。とくに注意したいのが、更新が特定の担当者に属人化するコストや、セキュリティ対応が毎月の継続コストになる点です。こうした目に見えにくい負担も含めて見積もると、公開後に想定外のコストが発生しにくくなります。Webサイト全体の費用感については、依頼先別の費用相場をまとめた記事も参考になります。
どちらが適しているかは、更新頻度・社内リソース・求める表現の3点で判断すると整理しやすくなります。
外注には、世界観の設計をプロに委ねられる合理性があります。一方で、更新のたびに依頼が発生し、費用と時間がかさむ面もあります。内製化を急ぐ必要はありませんが、次のような場合は自社制作を検討する価値があります。
公開後の更新頻度が高い:キャンペーンや新商品にあわせて頻繁に手を入れる
社内に更新できる体制を作りたい:都度の外注依頼から脱却したい
表現へのこだわりを社内で反映し続けたい:世界観の微調整を自分たちで行いたい
すべてを自社で抱える必要はありません。伊藤忠商事の繊維カンパニーでは、複雑なデザイン部分は制作パートナーに依頼し、それ以外は自社で作り進めるハイブリッドな体制をとっています(伊藤忠商事の導入事例)。品質を保ちながら運用負荷を抑える現実的な進め方として参考になります。
なお、近年はノーコードWeb制作プラットフォームを使い、コードを書かずにブランドサイトを制作・運用する選択肢も広がっています。「Studio」もそうしたツールの一つで、デザインの自由度を保ちながら非エンジニアでも更新できる点が特徴です。ただし決済機能や会員登録機能は単体では提供されないため、必要な機能を満たせるかは事前の確認が必要です。
ここでは、ブランドサイトそのものの事例に加え、世界観の表現を重視して制作されたサイトの事例を紹介します。数値は各社の公開情報に基づきます。
複数のアパレルブランドサイトを運用する伊藤忠商事の繊維カンパニーでは、14サイトを4台のサーバーに分散管理し、軽微な修正にも数週間〜1か月超かかる状態が課題でした。
保守・セキュリティを一元化して10サイト以上を移行した結果、サービスサイトの運用コストは約40%削減され、修正の反映期間は1〜2週間程度まで短縮されています。サイト移行では、CMSのコンテンツ(中身)は移せても、デザイン(見た目)はそのまま移せず作り直しになるのが一般的です。その再現が移行のネックになりやすい中で、既存デザインを再現してブランドの世界観を損なわずに移行できた点が特徴です。ブランドサイトを複数抱える場合の運用設計の参考になります。詳細は伊藤忠商事の導入事例で確認できます。
以降の2つは、ブランドサイトそのものではありませんが、世界観の表現を重視したサイト制作の進め方として参考になる事例です。
ビジネスチャットを運営するkubellは、社名変更に伴うリブランディングの一環として、オウンドメディア「kubell days」を立ち上げました。ロゴ刷新やサイトリニューアルが同時進行する中で、限られたリソースでの制作が求められました。
同社ではStudioを用い、ディレクター1人が1ヶ月ほどで設計から実装・公開まで完了させています。前身メディアから100記事以上をCMSで移行し、その後は約5名の持ち回りで更新できる体制を整えました。デザインの制約をほぼ受けずに公開まで到達できた点は、ブランド表現を重視するサイト制作の参考になります。詳細はkubellの導入事例で確認できます。
富士通の社会課題プロジェクト「エキマトペ」のサイトでは、強いメッセージ性を持つ世界観を維持しながら、運用負荷を下げる必要がありました。
WordPressからの移行により、毎月約10時間かかっていたセキュリティ対応の工数がゼロになり、既存サイトの世界観は忠実に再現されています。世界観の表現とセキュリティ運用の両立を示す事例です。詳細は富士通・エキマトペの導入事例で確認できます。
こうした事例からは、ブランドサイトでは「世界観を再現できるか」がツール選定の前提条件になる傾向が読み取れます。運用効率だけで選ぶと、ブランドの印象が損なわれる場合がある点には注意が必要です。
見た目の完成を急ぐと、公開後の運用でつまずくことがあります。着手前に次の点を押さえておくと、手戻りを防げます。
コンセプトが固まる前にデザインへ進む:世界観の軸がぶれ、修正が繰り返される
公開後の更新体制を決めていない:更新が滞り、鮮度が落ちる
表現へのこだわりとツールの制約が合わない:実装段階で理想と現実のずれが表面化する
特に運用体制は見落とされがちです。誰が、どの範囲を、どの頻度で更新するかを公開前に決めておくと、公開後の負担が大きく変わります。
ブランドサイトの制作は、目的とコンセプトの言語化から始まり、コンテンツ設計・デザイン・構築・公開・運用へと進みます。世界観の表現が価値を左右するため、デザインの自由度と、公開後に世界観を保ちながら更新できる体制の両方を見据えることが大切です。
費用や発注先は規模と運用方針によって変わります。制作費だけでなく運用費も含め、自社の更新頻度とリソースに照らして判断すると、無理のない進め方が見えてきます。まずは目的とコンセプトを一文で定義するところから着手してみてください。
広告代理店・SaaS企業を経て、現在はStudioでマーケティングを管掌。
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